
「給湯器に蜂が出入りしているけど、もしかして中に巣がある?」
「駆除したいけど、火事にならないか心配…」
私たちの生活になくてはならない存在の給湯器。蜂に巣を作られてしまっては使用ができなくなるだけでなく、火災の原因になりそうで怖いですよね。
今回は、年間一万件以上蜂の巣駆除をしているハチ駆除センターが、給湯器にできた蜂の巣の駆除方法について解説していきます。
この記事を読めば、自分で駆除するべきか業者に依頼するべきかの判断ができるようになり、正しい対応方法を知ることができます。
蜂が給湯器に巣を作る理由

蜂が給湯器の近くを飛んでいたり、中へ出入りしている場合は、巣を作っていると考えた方が良いでしょう。
蜂が給湯器に出入りする理由は、巣作り以外にはないからです。
給湯器には、蜂の餌や寄せ付けるような匂いはありません。
ですが、給湯器は蜂の巣作りの場所としては好条件がそろっています。
- ・隙間から出入りやすい
- ・雨や風を防げる
- ・敵から身を守りやすい
給湯器は、蜂にとって安全を確保でき、雨風をしのげ、出入りしやすいため、巣作りに適した場所なのです。
他にも、乾燥していて、直射日光が当たらないため、蜂には好条件がそろっています。
給湯器に巣ができた時の対処法
給湯器に巣ができた時の対処法について解説していきます。
特に以下の点に注意しましょう。
- ・内部に出入りしている場合には、カバーを自力では外さない
- ・自力で駆除する場合には観察を入念に行う
対処法について以下の順番で解説していきます。
- ①巣の位置を確認する
- ②蜂の種類・巣の大きさを確認する
- ③自力で駆除できるかどうか検討する
- ④自力で駆除する際の注意点
- ⑤給湯器にできた蜂の巣駆除の手順
ひとつずつ見ていきましょう。
①巣の位置を確認する
蜂が巣を作っていると気づいたら、まず給湯器のどこの部分に巣を作っているのかを確認します。
もし、外側から見ただけではどこに巣があるのか分からない場合は要注意。給湯器のカバーを取り外さないと見えない場合、巣が想像よりも大きい可能性があります。カバーを外した時に振動が伝わり、蜂に攻撃される危険性があります。
蜂の巣の大きさや形、蜂の種類によって駆除の難易度は変わります。外側から見えない場所に巣があるときは観察ができず、自力で駆除しようとするのは危険です。その場合は業者に駆除を依頼しましょう。
給湯器の側面や裏側、下側、パイプの部分に巣が作られている時は、安全な場所から巣の状況を確認しましょう。
外から見える部分の巣であれば、自力での駆除が可能な場合があります。蜂の種類と巣の大きさで自力で駆除が可能かどうかを判断します。
②蜂の種類・巣の大きさを確認する
蜂の種類と巣の大きさによって自力で駆除が可能かどうかが変わります。
蜂の種類の見分け方は以下の表を参考にしてください。
蜂の種類
特徴
巣
-
スズメバチ
-
・攻撃性が強い
・強力な毒を持つ -
マーブル模様の球体
・初期はトックリ様または巣の上に傘がある様な形
・巣の引っ越しをする種類もいる
-
アシナガバチ
-
・おとなしい性格
・刺激すると刺す -
・巣の穴がすべて見える
・ハスの実のような形
-
ミツバチ
-
・おとなしい性格
・巣が小さくても働き蜂がいる
・集団で襲いかかる
・一度刺すと毒針が抜けて死んでしまう -
・板状の巣が何枚も垂れ下がり重なる形
・途中で巣の引っ越しをする
・蜜が貯蔵されている
-
ドロバチ
-
・単独で行動
・おとなしい性格
・ほとんど人を刺さない -
・巣には卵を1つだけ産む
・成虫は巣には住まない
蜂の種類の見分け方の詳細は、こちらの記事で解説しています。
③自力で駆除できるかどうか検討する
蜂の種類が分かり、巣の大きさも把握できたら、自分で駆除できるかどうかを判断します。給湯器に作られた巣がアシナガバチの小さな巣やドロバチの巣立った場合は、自力での駆除が可能です。
以下の判断基準を参考にしてください。
スズメバチ | 5cm以下の巣 | 6cm以上の巣 |
給湯器の内部 | ✕ | ✕ |
給湯器の外側 | ✕ | ✕ |
アシナガバチ | 5cm以下の巣 | 6cm以上の巣 |
給湯器の内部 | ✕ | ✕ |
給湯器の外側 | 〇 | ✕ |
ミツバチ | 5cm以下の巣 | 6cm以上の巣 |
給湯器の内部 | ✕ | ✕ |
給湯器の外側 | ✕ | ✕ |
ドロバチ | 5cm以下の巣 | 6cm以上の巣 |
給湯器の内部 | 〇 | ー(作らない) |
給湯器の外側 | 〇 | ー(作らない) |
スズメバチだった場合は、巣が小さくても自力での駆除はできません。小さい巣はスズメバチの個体数は少ないですが、刺されると毒性が強く、命の危険を伴います。性格が獰猛であることも自力での駆除をおすすめできない理由です。
ミツバチは、巣が小さい状態でも常に働き蜂がいるため、駆除しようとしたときに刺される可能性があります。また、ミツバチの巣には蜂蜜が溜まっており、駆除の時に巣から漏れ出します。給湯器に蜜がついてしまうと故障の原因になるかもしれないため、自力での駆除はやめておきましょう。
アシナガバチだった場合には、巣が5㎝以下の大きさであれば自力で駆除が可能。6㎝以上だと働き蜂が存在している可能性が高いため自力での駆除はやめておきましょう。
ドロバチは、巣に成虫はおらず、卵を産みつけるための巣しか作りません。小さな巣しか作らず、巣に穴が開いていればその巣は空っぽです。巣に穴がない場合でも巣には幼虫と親蜂が準備した幼虫の餌が入っているだけなので、自力での駆除が可能です。
④自力で駆除する際の注意点
自力で駆除できない巣の場合は、蜂駆除業者へ連絡をします。自力で行う場合には以下の点に気を付けます。
- ・基盤周辺に液状の殺虫スプレーは禁止!故障の原因になる。
- ・駆除に取り掛かる前に給湯器の電源を切る→火災の原因や誤作動に。
- ・本体の熱が冷めてから取り掛かる。
給湯器に作られた巣の駆除には、エアゾールタイプの殺虫剤を使用します。
エアゾールタイプの殺虫剤は、スプレー缶に入っており、圧力を利用して殺虫剤を微粒子状に噴霧します。一方、液状の殺虫剤は水に薄めて使用するもので殺虫剤は原液として販売されています。
私たちが一般的に想像する殺虫剤はエアゾールタイプですが、準備の際に必ず商品の注意書きを確認しましょう。
給湯器に液状の殺虫剤を使うと、火災や故障の原因になります。
⑤給湯器にできた蜂の巣駆除の手順
1. 給湯器の電源を切る
火災のリスクを下げるため、給湯器の熱を冷ましておきます。
2. 物品を準備する
- ・エアゾールタイプの殺虫剤 2本以上
- ・防護服
- ・防虫ネット
- ・厚手の手袋
- ・長靴
- ・ほうきとちりとり
- ・懐中電灯(赤色のセロファンをつける)
- ・ゴミ袋
3. 夜21時頃に駆除を始める
日中は巣作りのため蜂が巣にいない可能性が高いです。そのため、蜂が巣に戻っている夜に駆除を行います。
暗闇での作業になるため、懐中電灯を使います。懐中電灯をそのまま使用すると光が明るすぎて蜂を刺激してしまうため、赤いセロファンを取り付けたものを使用します。
4. 巣の入り口に向かって殺虫剤をスプレーする
巣から2mほど離れた距離から、巣の入り口に向けて殺虫剤を噴射します。風向きに注意しましょう。2〜3分は噴射し続けます。
駆除完了の目安は、蜂の羽音がきこえなくなるまでです。
5. 翌朝蜂の巣を突き落とす
翌朝、明るくなってから巣を棒などで突き落します。ゴミ袋に入れて処分します。これで駆除は完了です。
給湯器に巣を作られないための予防策

意外ですが、給湯器は蜂の巣作りに適した絶好の場所です。雨風が当たりにくく、直射日光も当たらない、外敵から身を守りやすい安全な場所なのです。
一度巣ができた場合、再び巣を作られてしまう可能性があります。正しい蜂の巣対策をしておきましょう。
給湯器を覆うのはNG
給湯器をカバーなどで覆うのはやめましょう。通常外に排出するべき熱がこもってしまい、火災が起きる可能性があります。
すき間をパテでふさぐのは危険
給湯器のすき間をパテでふさぐのも危険です。カバーで覆うのと同様に、排出すべき熱がこもり、火災や故障の原因になります。
殺虫スプレーを定期的に撒く
給湯器に蜂が近づかないように、給湯器周辺に殺虫スプレーを撒いておきます。商品によって予防効果の持続期間は異なりますが、2週間~1カ月程効果がみられます。
雨が降ると防虫効果が流れてしまうので、雨の後は再度スプレーするようにしましょう。
木酢液を置いておく

木酢液(もくさくえき)は、独特のニオイがあり、蜂が嫌がるニオイです。希釈した木酢液を容器に入れて給湯器の近くに置いておくと、蜂の巣づくり予防ができます。
木酢液をスプレーしても蜂除け効果がありますが、液体なので給湯器の電源コードや基板などにかからないように注意しましょう。故障の原因となります。
木酢液は雨が降ると流れてしまいますし、希釈した濃度が変化して効果が薄れてしまいます。雨の後は、木酢液を新しい物に交換した方がよいでしょう。
まとめ
給湯器に巣を作られた場合、給湯器の内部にあるか、外側になるかで自力で駆除できるかどうかが変わます。
内部にある場合、巣の様子が分からず、カバーを外したときに大量の蜂に襲われる危険があります。
給湯器内部に巣を作られた場合には、ハチ駆除センターへご連絡を!お電話または問い合わせフォームからご相談ください。
記事監修者コメント
ハチの巣駆除は、ご自身での対応が非常に危険なケースが多く、特にスズメバチは命に関わる事故につながることもあります。私はこれまで15年以上にわたって全国で蜂駆除の現場に携わってきましたが、近年は住宅密集地や高齢者の多い地域での被害が増えている印象です。
正しい知識と装備がないまま巣に近づくのは非常にリスクが高いため、異変を感じたらまずは専門業者にご相談ください。当社では、駆除作業の前に蜂の種類や巣の状況を正確に見極め、適切な方法と料金をご提案しております。安心・安全な暮らしを守るために、信頼できるプロの対応をおすすめします。
監修者プロフィール
監修者:ハチ駆除センター N.S
保有資格:防除作業監督者、ペストコントロール技術者(2級)、第二種電気工事士
業界経験:害虫・害獣駆除業界歴15年/蜂の巣駆除対応数3,000件以上