日本のオオスズメバチはなぜ危険?他の種類との違いと見分け方を解説
「オオスズメバチに刺されると命の危険があるって聞いたけど、その辺にいるの?」
「オオスズメバチに遭遇したら、どうすればいいの?」
オオスズメバチの名前は聞いたことはあるけど、実際はどんな蜂で、どこに生息しているのかは、いまいち分からないですよね。
今回は、年間1万件以上の蜂の巣を駆除しているハチ駆除センターが、オオスズメバチについて解説していきます。
この記事を読めば、オオスズメバチに刺されないためにはどうするべきかが分かるようになります。
オオスズメバチの危険:昆虫界で一番強い
オオスズメバチは、「昆虫界で一番強い」と言われるほど危険なスズメバチです。
・凶暴な性格
・蜂毒の強さと量の多さ
・巣の分かりにくさ
オオスズメバチが最も危険と言われる理由をひとつずつ見ていきましょう。
凶暴な性格のオオスズメバチ
オオスズメバチは、とても凶暴な性格をしています。
スズメバチは凶暴で危険な蜂であるというイメージがありますが、その危険なスズメバチの中でも特に凶暴で危険なのがオオスズメバチです。
オオスズメバチは、大きな体と強いアゴを持ち、長い毒針を有しています。
狙った敵は30mの距離を追いかけて襲うほどの獰猛さです。
足とアゴの力で敵に喰らいつき、毒針で何度も刺して毒を注入します。
この時の力は、腕を刺された場合に成人男性が振り払おうとしても離れない程の強さです。
蜂毒の強さと量の多さ
オオスズメバチは、強い蜂毒を持っていますが、毒の量もスズメバチの中で一番多いです。
オオスズメバチは、敵に対して毒を噴射する場合があり、毒が目に入ると失明する危険があるほど、強烈な毒を有しています。
オオスズメバチの毒には、以下のような成分が含まれており、あらゆる症状を引き起こします。
・ヒスタミン:アレルギー反応を引き起こし、刺された部分が赤く腫れる。
・エンザイム:細胞を破壊し、広範囲にダメージを与える。
・ペプチド:血管を拡張し、血圧低下。
・アセチルコリン:激しい痛みを引き起こす。
オオスズメバチの毒は、非常に危険です。オオスズメバチに遭遇したときには、出来る限り刺激しないように注意して行動することが必要です。
オオスズメバチの巣は分かりにくい場所にある
出典:森林総合研究所
オオスズメバチは、土や木の中に巣を作るため一見どこに巣があるのか分かりません。草むらや森の中にあると更に分かりにくくなります。
巣に近づくものを敵と見なし、巣を守るために攻撃してきます。気が付かない間に巣に近づいていることがあるため、散歩やハイキングなどで土手や森、林などを歩く時には注意しましょう。
また、草刈りで茂みに入る時にもオオスズメバチの巣に遭遇する可能性があります。草刈りをする時には、防護服を着て、刺されないように対策をしておきましょう。
オオスズメバチの特徴と他のスズメバチとの見分け方
体長 | 2.7cm~4cm |
見た目 | オレンジ色の体に黒のしま模様 |
巣の特徴 | 周囲と同化していて分かりにくい |
巣を作る場所 | 土や木の中 |
体の大きさ、見た目の特徴
オオスズメバチは、体長2.7cm〜4cmと大きな蜂で、オレンジ色の体に黒のしま模様があります。
体の模様や形は他のスズメバチと大きな違いはありませんが、特徴的なのは大きな体で、世界最大のスズメバチと言われています。
他のスズメバチが2cm前後であるのに対し、オオスズメバチは大きい個体で4cmで、飛んでいる姿は威圧感があります。
自然界での役割
オオスズメバチは、自然界では捕食者としての役割があります。ミツバチやアブなどの昆虫を餌とするため、生態系のバランスを保つ役割があります。
ですが、近年ではオオスズメバチの捕食の対象であるミツバチの数の減少により、この捕食者としての役割が私たち人間にとって深刻な問題となっています。
オオスズメバチがミツバチの巣を襲うと、一度に大量のミツバチを捕食します。
ミツバチは花や果物などの農作物の受粉を促進する役割や、蜂蜜や蜜ろう、ローヤルゼリーの生成など、人間にとって無くてはならない役割を担っています。
巣作りの時期や行動パターン
オオスズメバチは4月に活動を開始し、11月頃まで行動します。
毎年、働き蜂の数が最大化する8月~10月には蜂刺されの被害が多発しています。
夏から秋にかけては、働き蜂の数が増えること、餌となる虫の数自体が減ることから、一匹あたりの餌の数が減少するため、オオスズメバチは飢餓状態となっています。
夏から秋のオオスズメバチは、より凶暴化し、巣に近づく者に襲いかかります。
オオスズメバチの1年間の行動パターンは以下の通りです。
4月~5月 | ・女王蜂が巣作りを開始 ・卵を産む |
6月~7月 | ・卵から幼虫→成虫となって働き蜂となる |
8月 | ・働き蜂の数が増え、巣の大きさが巨大化する |
9月~10月 | ・働き蜂の数がピークとなる ・巣も最大化 |
11月 | ・次期女王蜂とオス蜂が成虫となる |
12月~3月 | ・次期女王蜂以外の蜂は寿命を迎える ・次期女王蜂は巣の外で冬を越える |
冬眠して冬を越えることが出来るのは11月頃に生まれた次期女王蜂だけで、その他の現女王蜂や働き蜂、オス蜂は12月には寿命を迎えて死んでしまいます。
暖冬の影響で、12月頃まで活動を続けている働き蜂がいることもあります。温かい冬には「冬だから大丈夫!」と油断せずに、「蜂の巣には蜂がまだいるかもしれない」と、警戒心を忘れないで下さい。
オオスズメバチに刺されないための対策
黒い物やにおいに注意!オオスズメバチが近づいてくる原因に
オオスズメバチが巣を作るような場所を歩くときには、黒い服や持ち物を身に着けないようにしましょう。
蜂は「白」よりも「黒」を攻撃する習性があります。
これは、蜂の天敵であるクマやハチクマ(鳥)が黒っぽい色をしているため、黒い色に襲いかかると言われています。
黒い服以外にも、黒いカバンや黒い髪の毛、黒い靴なども蜂が寄ってきてしまうため、オオスズメバチの巣が作られる可能性のある森や林、土手や茂みを通る時には身に着けないようにしましょう。
蜂は匂いにも敏感で、汗や香水のにおい、食べ物や柔軟剤のにおいに寄ってくることが分かっています。
オオスズメバチは主に、草むらや茂みの中、土手や林、森などの土の中や木の穴の中に巣を作ります。
自然の中でのハイキングやキャンプ、草刈りをする際には十分気を付けましょう。
茂みの中や草むらの中には入らない
オオスズメバチの巣は、一見するとどこに巣があるか分からない程に周囲と同化しています。
そのため、茂みに足を踏み入れて、気が付かないうちにオオスズメバチの巣に近づいてしまい、刺される被害が起きています。
特に危険なのは、草刈り作業の時です。草刈り機のエンジン音で、蜂が飛んでいることに気が付かずに刺されてしまう事例があります。
連続で刺されたり、一気に複数の蜂に刺されてしまった場合には命の危険もあります。
茂みや草むらには、不必要に入らないようにしましょう。
草刈りなど、屋外での作業は長袖・長ズボンで行う
草刈りなどの蜂に遭遇しやすい場所で作業を行う場合には、肌の露出を避けて、長袖長ズボンを着て作業をしましょう。
蜂は肌が露出している場所を狙って攻撃してきます。
オオスズメバチに遭遇してしまった時のために、対策しておきましょう。
オオスズメバチの毒針は太くて長く、力も強いです。防護服を着ていても、服を貫通して刺された事例もあるほどです。
刺されたらどうする?冷静に行動しよう
不運にもオオスズメバチに遭遇し、刺されてしまった時のとるべき行動について説明します。
①安全な場所へ移動する。
②流水で刺された箇所を洗い流す。
③刺された箇所を冷やす
④医療機関を受診する。
巣の近くで刺された場合、蜂が集団で襲ってくる可能性があります。その場に留まることは危険なため、速やかに安全な場所へ移動しましょう。
安全な場所に移動できたら、刺された箇所の皮膚をつまんで、毒を絞り出しながら流水で洗い流します。
この時、口で毒を吸い出すのは絶対にやめましょう。蜂の毒が体内に入ってしまうため危険です。
オオスズメバチに刺された場合には医療機関を受診しましょう。
蜂毒によるアナフィラキシーショックというアレルギーの重篤な症状は15分~30分で急激に進行していきます。
気持ち悪さや、ぼーっとするなどの症状がある場合には、重症化していく可能性があります。速やかに医療機関を受診しましょう。
判断に迷う時には、医療機関に電話で受診方法を相談しておくと良いでしょう。症状によっては救急車を呼ぶ必要がある場合もあります。
オオスズメバチの巣を見つけた時の対応
大きな蜂が土の中や木の中に出入りしている場合、オオスズメバチの巣があると考えてよいでしょう。
決して近づかないようにして下さい。オオスズメバチは30mもの距離を追いかけて攻撃してくるほど、しつこくて凶暴です。
オオスズメバチの巣が人が通るような場所や、人間の生活圏内にある場合、誰かが刺される前に駆除しなくてはなりません。
オオスズメバチの巣の駆除は、一般の方が行うのは危険です。必ず、信頼できる蜂駆除業者に駆除してもらいましょう。
まとめ
オオスズメバチはスズメバチの中でも最も危険な蜂で、力が強く、毒も強くて量も多い蜂です。
土の中や木の中などの分かりにくい、自然と同化する場所に巣を作るため、気が付かない間に巣を踏みつけてしまい刺されてしまうことがあります。
オオスズメバチに刺されると、アレルギー症状を引き起こし、最悪の場合死に至る可能性もあります。
巣がある事に気づいたら、被害が出る前に、ハチ駆除センターに連絡して、駆除をお申し付け下さい。