身近な存在なのに意外と知らない?蜂の種類による危険度や特徴を解説
春から夏にかけて、気温の上昇とともに外出する機会が増え、お子さんやペットも外で遊ぶ機会が増えていくこの季節。嬉しい気持ちとともに、虫による被害も増えてきます。
その中でも「蜂」に対する恐怖を感じている方は多いのではないでしょうか。
私たちの身近な存在である蜂ですが、実は日本には4,000種以上の蜂が生息していると言われているんです。その中には、スズメバチのような攻撃的な蜂もいれば、ミツバチのように人間にとって有益な蜂もいます。
本記事では特に民家周辺で巣を作り、人間に被害を与える可能性が高いスズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの3種類にスポットを当てて蜂の種類や具体的な危険性・活動時期など注意すべき点をご紹介します。
蜂に関する知識をつけ安全に共存できる生活を手に入れましょう。
人を刺す危険性が高い蜂
民家の周辺で巣を作り、住宅地でもよく見かけられ身近な存在でもあるスズメバチ・アシナガバチ・ミツバチ。この3種類は人を刺す危険性も高く刺傷事故も毎年報告され、多くの方が被害を受けています。
その中でも、特に注意が必要なのがスズメバチです。攻撃性が高く、毒性も強いことから重症化や死亡例が報告されるケースも。
一方、アシナガバチやミツバチは、通常は攻撃的ではありません。しかし巣の近くを刺激したり不用意に近づいたりすることで刺されてしまう危険性があります。
これらの蜂と安全に共存するためには、それぞれの習性を知り、適切な距離を保つことが大切です。
まず最初に、危険性の高いスズメバチの種類や特徴からご紹介していきます。
スズメバチ
どこからともなく現れる黒黄色のストライプ模様の来訪者。それがスズメバチです。彼らは民家の軒下や樹木などに巣を作り、住宅地でも頻繁に見られます。蜜を求めて花を訪れたり、獲物を捕ったりと活発に行動する姿はどこか身近にも感じられます。
スズメバチはとても攻撃的で、その刺針には強力な毒が含まれています。もしも刺された場合には命の危険さえも引き起こすケースもあるので注意が必要です。
ここからは、スズメバチの中でも危険度の高いランキングTOP3の種類や特徴を紹介していきましょう。
オオスズメバチ
オオスズメバチは大きな顎を持ち、その噛む力は非常に強力です。刺されるときの痛みや腫れは、すべての蜂の中でもっとも強烈とされています。また、オオスズメバチに複数回刺されると死に至ることも。
オオスズメバチの攻撃性は非常に高く、7月から11月にかけては食料を巡って他の蜂との戦いが頻発します。攻撃時には顎をガチガチ鳴らし、何度も針を刺す特徴があります。
飛行速度も最速で時速40キロと非常に速いため、自分で対処しようとするのは絶対に避けてください。
オオスズメバチを見かけたら、すぐに専門の駆除業者に相談することをおすすめします。
オオスズメバチの特徴
攻撃性 | 非常に攻撃的で、巣に近づいたり刺激したりすると、集団で襲い掛かってきます。 刺されると強い痛みと腫れを引き起こし、場合によっては命に関わることもあります。 |
大きさ | 27~40mmほどの日本最大サイズ 女王蜂は45mm前後 |
巣の特徴 | ・土の中・木の洞などにつり鐘のような形。 ・人の目につきにくい場所に巣を作ります。 |
キイロスズメバチ
眼の周りが黒いキイロスズメバチは、オオスズメバチに次いで危険性が高い蜂です。その気性は荒く、刺されると死に至ることも。特に都市部や市街地で多く見られ、キイロスズメバチによる刺傷の被害件数も最も多いです。
キイロスズメバチの特徴は胴体全体に黄色の短い毛が密生していることです。キイロスズメバチは、巣に近づく人間に対して特に攻撃的になる傾向があります。初期の巣はフラスコ型をしており、後には大きな球状の巣を形成します。
また、働き蜂が増えると巣が手狭になり、新たな巣への移動を行うことがあります。同じ場所に巣を再建することもありますので注意が必要です。
キイロスズメバチの特徴
攻撃性 | 非常に攻撃的で、巣に近づいたり刺激したりすると、集団で襲い掛かってきます。 スズメバチの中でも攻撃性が強いことで知られています。 |
大きさ | 17~24mm 女王蜂は17~24mm前後 |
巣の特徴 | ・巣全体が茶色っぽい色で、表面には不規則な模様があります。 ・初期はフラスコ型でその後は球状に成長します。 ・複数枚の紙のような素材を重ねて作られています。 |
モンスズメバチ
腹部の斑紋が波打つモンスズメバチは、オオスズメバチやキイロスズメバチほどではないのですが、攻撃性が高い種類の蜂です。主にセミを捕食することで知られています。他のスズメバチと異なり夜間に活動することが特徴です。
モンスズメバチは主に山間部に生息していましたが、近年は住宅地へも進出していて年々被害が深刻になっています。
モンスズメバチの特徴
攻撃性 | 攻撃的で、巣に近づいたり刺激したりすると、集団で襲い掛かってきます。 キイロスズメバチやオオスズメバチよりは攻撃性は低いですが、それでも十分な危険性があります。 |
大きさ | 21~28mm 女王蜂は26mm前後 |
巣の特徴 | ・軒下や室外機の隙間など広範囲にわたります。 ・巣の形状は、球状で最大50cmにも成長します。 |
その他スズメバチの種類
日本には3属17種のスズメバチが生息しています。
スズメバチ属 |
・オオスズメバチ ・キイロスズメバチ ・モンスズメバチ ・チャイロスズメバチ ・コガタスズメバチ ・ヒメスズメバチ ・ツマグロスズメバチ ・ツマアカスズメバチ |
クロスズメバチ属 |
・クロスズメバチ ・シダクロスズメバチ ・ツヤクロスズメバチ ・キオビクロスズメバチ ・ヤドリスズメバチ |
ホオナガスズメバチ属 |
・キオビホオナガスズメバチ ・シロオビホオナガスズメバチ ・ニッポンホオナガスズメバチ ・ヤドリホオナガスズメバチ |
これらのスズメバチを見かけたら、決して近づいたり刺激したりせずに静かにその場を離れることが重要です。もし刺されてしまった場合は、すぐに医療機関を受診してください。
アシナガバチ
アシナガバチは一般におとなしい性格で、スズメバチほど攻撃的ではありませんが、突然近づいたり触ったり巣を刺激すると集団で攻撃してくることがあります。
ここからは、日本に多く生息し攻撃性の高いアシナガバチの種類をご紹介します。
キアシナガバチ
キアシナガバチは日本のアシナガバチの中で最も大きく、体は黒色で黄色い斑点が特徴的です。巣の中ではピーク時に約50匹の働きバチが活動しますが、他の日本のアシナガバチに比べて攻撃性が高いので注意が必要です。
キアシナガバチの特徴
攻撃性 | ・体を震わせて威嚇し、オスの蜂や女王蜂もこの行動に加わることがあります。 ・刺された場合の痛みやかゆみ、腫れはアシナガバチの中でも最も強烈とされています。 |
大きさ | 21mm~26mm 女王蜂は25mm前後 |
巣の特徴 | 木の枝や軒下など家屋周辺 |
セグロアシナガバチ
セグロアシナガバチはアシナガバチの中でも体が大きく、毒性の高い蜂です。刺された痛みはスズメバチに匹敵するともいわれています。
刺されると、スズメバチに刺された時と同様に非常に強い痛みを伴うことがあり、注入された毒によってアレルギー反応が引き起こされる可能性もあります。
人の多い市街地でも生息し、民家の軒下や屋根裏に巣を作ります。そのため被害件数が多いです。
セグロアシナガバチの特徴
攻撃性 | ・急に近づいたり触ったり、巣を刺激してしまうと一気に攻撃してくることがあります。 ・蜂の毒に対するアレルギー反応を引き起こす危険性もあります。 |
大きさ | ・21mm~26mm ・女王蜂(25mm前後) |
巣の特徴 | 木の枝や家屋の隙間など |
その他アシナガバチの種類
日本には、3属11種類のアシナガバチが生息しています。
アシナガバチ属 |
・セグロアシナガバチ ・キアシナガバチ ・フタモンアシナガバチ ・トガリフタモンアシナガバチ ・コアシナガバチ ・キボシアシナガバチ ・ヤマトアシナガバチ |
ホソアシナガバチ属 |
・ヒメホソアシナガバチ ・ムモンホソアシナガバチ |
チビアシナガバチ属 |
・ナンヨウチビアシナガバチ ・オキナワチビアシナガバチ |
アシナガバチは、不用意に近づいたり刺激しなければ共存できる存在です。危険性を知り、安全な距離を保ちながらアシナガバチとの付き合い方を見つけていきましょう。
ミツバチ
ミツバチは一般的に蜜を採取したり花粉を媒介したりする愛らしい蜂です。ミツバチは人間との関わりが深い蜂です。彼らの性格は穏やかで、群れは数万匹にも達することもあります。
攻撃性が非常に低いので、刺激されなければめったに人間を攻撃しません。ミツバチは野菜や果物の受粉や蜂蜜の生産に貢献し、長寿命であることも特徴です。
ただし、刺激を受けると攻撃的になる個体も存在するので注意が必要です。
日本には、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの2種類のミツバチが生息しています。
二ホンミツバチ
ニホンミツバチは、日本の在来種で主に草花の蜜や花粉を集めて暮らす穏やかな性格です。彼らの毒性は比較的低いものの、女王蜂が死亡したり、農薬が使用されると刺しやすくなる傾向があります。
ニホンミツバチの巣は通常数年間使用されます。寒い季節には巣穴にこもる彼らは攻撃性を増し、巣に近づくと攻撃されることがあります。
二ホンミツバチの特徴
攻撃性 | ・一般に攻撃性が非常に低く、穏やかな性格を持っています。 ・巣や女王蜂を守る本能が働き攻撃的になることがあります。 |
毒性 | ・刺されると痛みや腫れ、かゆみなどの症状が現れますが、セイヨウミツバチやスズメバチの毒に比べて毒性は弱いです。 ・アレルギー体質の人にとっては、蜂の毒に対するアレルギー反応を引き起こす危険性もあります。 |
大きさ | 12mm 女王蜂は13mm前後 |
巣の特徴 | 屋根裏などの閉鎖空間 |
セイヨウミツバチ
セイヨウミツバチは、ヨーロッパから日本に輸入された養蜂用の蜂です。一般には穏やかな性格をしていますが、ニホンミツバチに比べてやや攻撃性が高いのが特徴です。特に巣箱を移動させる際や農薬を散布する際に刺されることがあります。
セイヨウミツバチの特徴
攻撃性 | ・一般に攻撃性が非常に低く、穏やかな性格を持っています。 ・普段から刺激を与えなければ、彼らは人間を刺すことはありません。 |
毒性 | ・刺されると痛みや腫れ、かゆみなどの症状が現れますが、セイヨウミツバチやスズメバチの毒に比べて毒性は弱いです。 ・アレルギー体質の人にとっては、蜂の毒に対するアレルギー反応を引き起こす危険性もあります。 |
大きさ | 11~13mmほど 女王蜂は15mm程度 |
巣の特徴 | 主に養蜂目的で木製の巣箱の中に巣枠をつくると巣を作る |
ミツバチと安全に共存するためには、巣に近づいたり刺激を与えないように気をつけましょう。
蜂の種類別の活動時期
最後にそれぞれの蜂が活発に活動する時期を見てみましょう。
スズメバチ:夏から秋にかけて警戒が必要
6月頃から巣作りを始め、7月から10月にかけて繁殖活動を行うスズメバチ。巣が大きくなり繁殖が進むにつれて、攻撃性も高くなります。特に夏から秋にかけては、活発に活動するため、細心の注意が必要です。
アシナガバチ:夏に注意が必要
4月から5月に女王バチが単独で巣作りを始め、その後6月以降に巣が成長していくアシナガバチ。夏に入ると数が増えて攻撃性が高まるため、注意が必要です。
ミツバチ:冬の前後と巣別れ(分蜂)時期に注意
他の2種類と異なり、巣別れ(分蜂)を行う性質を持つミツバチ。特に活動的になるのは、冬越しの準備を始める10月から11月ごろと、冬越しを終えた直後の2〜3月ごろです。
大人しい性格ですが、巣別れ中のミツバチを見かけた場合でも、不用意に近づかなければ危険性は低いです。ただし、ベランダなどに巣を作られると刺されるリスクが高まるため、巣が作られないように対策が必要です。
それぞれの蜂の生態を理解して適切な距離を保つことが安全への第一歩です。
まとめ
私たちの生活に身近な存在である蜂は、種類によって危険度や特徴が大きく異なります。特にスズメバチは攻撃性が高く、刺されると重症化することもあるため十分な注意が必要です。
本記事では、特に民家周辺で巣を作り、人間に被害をもたらす可能性が高いスズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの3種類に注目し、それぞれの種類や危険性や活動時期について解説しました。
蜂と安全に共存するために
・慌てずに静かにその場を離れる
・大きな声を出したり、刺激を与えたりしない
・もし刺されてしまった場合はすぐに医療機関を受診する
もしも蜂を見かけたら慌てずに静かにその場を離れましょう。巣を発見した場合には、無理に駆除しようとせず、専門業者に相談することをおすすめします。
蜂は正しく理解すれば共存できる存在です。安全な距離を保ちながら自然と触れ合っていきましょう。