
大阪市住吉区長居/50代/男性
私が自宅の玄関先に異変を感じたのは、梅雨が明けて暑さが本格化しはじめた7月初旬のことでした。朝、植木に水をまこうと外に出たとき、耳の奥に響くような独特の羽音が聞こえてきたのです。最初はセミの声かと思いましたが、音の方向に目をやると玄関の軒下にグレーがかった丸い塊がぶら下がっていました。よく見ると、数匹のアシナガバチが忙しそうに出入りを繰り返しており、瞬間的に身体が固まりました。
当時の巣はまだ小さく、卵形をした10センチほどの大きさで、まるで紙細工のようでした。その時点では「ちょっとした塊だからそのうち自然にいなくなるだろう」と高を括り、そのままにしてしまったのです。しかし、放置したのは本当に間違いでした。数週間のうちに巣はどんどん大きくなり、8月の中頃には直径20センチを超えるほどに成長。アシナガバチも飛び交う数が倍以上に増え、玄関を出入りするたびに頭上で羽音が唸るようになりました。
家族の安全を考えると、本格的に危険だと実感する日が増えていきました。特に小学生の孫が夏休みになると頻繁に遊びに来ることになっており、「万が一、巣に近づいて刺されてしまったら」と考えるだけで胸がざわつきました。アシナガバチの毒性はスズメバチほど強くないと聞いたことはありましたが、それでもアナフィラキシーショックのような重篤な反応が起こることもあると知っており、とても安心して見守れる状況ではありませんでした。
もうひとつ困ったのは、巣の周辺を通る近隣住民の目でした。知らずに通りかかった子どもが棒でつついたりする可能性もあり、私自身が責任を感じざるをえない立場になります。そんな不安を毎日感じながら、「なんとかしたい、でも自分ではできない」という葛藤を繰り返していました。
もちろん一度は自力で駆除を考えました。ホームセンターに行くと、蜂用の殺虫スプレーが並んでいたので手に取りましたが、商品の注意書きには「複数の蜂が巣を守るため反撃してくる可能性あり」と記載されており、想像しただけで背筋が寒くなりました。加えて、スプレーをかけるにしても夜間に行わないと蜂は凶暴化するとのこと。素人が暗い中で脚立に登り、背後から巣に向かってスプレーを噴霧するなど、到底安全ではありません。結局、自分で強行するのは無謀だと判断しました。
悩んだ末、インターネットで「大阪市 蜂の巣駆除」と検索し、見つけたのが蜂駆除専門業者のサイトでした。電話で状況を説明すると、担当の方が落ち着いた口調で「アシナガバチなら迅速に対処できます。お子さんやご家族がいるなら早めに伺ったほうが良いです」と答えてくださり、その瞬間とても安心感を得ました。翌日には現場に来てもらえるとのことで即座に申し込みました。
当日、作業員は猛暑にもかかわらず全身防護服で現れました。挨拶の後、作業手順を丁寧に説明してくださり、安心して任せられると確信しました。作業はまず特殊な散布剤を巣の入口に噴射し、その後、専用のハサミのような道具で巣を取り外すという手順でした。あれほど恐ろしく感じたアシナガバチの巣も、彼らの手にかかれば驚くほどスムーズに処理され、ものの20分もかからず完全に撤去されました。
さらに感心したのは、駆除後の対応です。業者の方は「この家の軒下は日差しの当たり具合や風通しが蜂の営巣に適しています。再び営巣する可能性がありますので、予防処理をしておきますね」と言い、蜂の嫌う薬剤を壁に塗布してくださいました。単に駆除するだけではなく、安全を持続させる工夫をしていただき、本当にありがたかったです。
撤去後、玄関前に立って耳を澄ましてみると、あの嫌な羽音が一切聞こえなくなっていました。家族からも「やっと落ち着いて外に出られるね」と安堵の声が上がり、近所の方からも「大事になる前に処理できてよかったですね」と声をかけられました。駆除をお願いするまではずっと不安に押しつぶされそうでしたが、一気に肩の荷が下りた思いです。
今回の体験から一番学んだことは「素人判断で放置してはいけない」ということでした。最初に小さな巣を見つけたとき、すぐに業者に依頼していれば、ここまで大きくならず費用や危険も少なく済んだはずです。今後は春頃から家や庭の周囲を定期的に見回り、もし巣ができかけているのを見つけたら早めに相談しようと家族で決めました。
命や安全にかかわる問題を、素人の思い込みや油断で先延ばしにしてはいけません。今回の駆除は、お金以上の安心と学びを得る出来事になりました。あのとき勇気を出して業者に連絡して本当に良かったと、心から感じています。
























